紡ぐように人と人とを繋げる求人サイト『日本仕事百科』と働きかた

本の概要

本書は『日本仕事百科』を運営する株式会社シゴトヒト代表取締役のナカムラケンタさんによる初の著書である。

著者紹介

著者のナカムラケンタさんは大学で建築を学んだあと、不動産会社に入社し、退職後、のちに『日本仕事百科』になる『東京仕事百科』を立ち上げる。
本書内では生きるように働いている人として、下記の人たちの活動や、取材時の会話の断片が紹介されている。

西村 佳哲(働き方研究家)
左京 泰明(シブヤ大学)
広瀬 琢磨(カキモリ)
福島 徹(福島屋)
宮田 識(DRAFT)
ナカムラクニオ(6次元)
林 厚見(東京R不動産)

読んでみて

日本仕事百科は変わっている求人サイトだ。
求人サイトでありながらブログのようであり、条件など仕事に関する求人情報は最後に出てくる程度である。

日本仕事百科

ありのままの現場を見せようとする職場の人へのインタビュー記事。
どんな人(人達)がどのような思いをもって、どのように働いているのか。
そこに自分が加わったらどんな風に働くんだろうか。

そのような想像力を働かせるのがこのサイトの魅力である。

取材時に大事にしていること

同業者を始め、真似したいけど真似できないと言われる『日本仕事百科』
ナカムラさんは取材時、『今に集中』するため、独自の形に進化していったそうだ。

  1. メモを取らない
  2. 用意した質問にこだわらない
  3. 校正時、赤入れをしない

求人という目的のために取材をするよりも、ありのままを伝えることで、それが正しい人のもとに届けばいい。そんなスタイルの仕事ぶりのように思える。
そして、ナカムラさんは、いろんな分野の人達との関わりを通して自身の緩やかなアップデートも同時に行っているような気がするのだ。

オンオフという言葉がある。ワークライフバランスという言葉もある。それらの言葉からは、仕事とそうではない時間は区別されるもの、という考え方が伝わってくる。仕事は仕事、というように。
<中略>
働いているときも、休んでいるときも、自分の時間を過ごしている。どうせ働くならこういう仕事がしたいと思う。

自分の働きかたについての考えかたでありながら、このような働きかたができる人間を増やすこと、それこそが『日本仕事百科』の役割なのだろう。

驕りや、押し付けがましさを感じない文章に、ナカムラさんの素敵な人柄を感じさせる本だった。

こんな人におすすめ!

  • 働きかたを模索している人
  • 日本仕事百科のファンの人