本の概要
心理的なアプローチのセールス・マーケティング本の古典とも言える本。
原題は『Tirggers』
著者紹介
ジョセフ・シュガーマンは全米屈指のダイレクトマーケター。1979年にはダイレクト・マーケティング・オブ・ザ・イヤーに選出される。
佐藤 昌弘 監訳
石原 薫 訳
読んでみて
セールスやマーケティングの古典のような扱いで紹介されることが多く、昔から至るところで目にする機会があった本だが食わず嫌いしていたので手にとってみた。
読んでみると、たしかにわかりやすく、実践しやすそうだ。
ビジネスの基本であるモノやサービスを売る(買ってもらう)ための原理原則が詰まっていて、確率とか数字の分析などの手法ではなく、顧客心理へのアプローチの仕方やそのスタンスについて書かれている。
マーケティング本は想像力を持って左脳を使い、データを扱うといったタイプの本が多い気がするが、そういう意味でいうと、この本は右脳特化型といってもいいかもしれない。
30の心理トリガー
本書で紹介されている30の心理トリガーを紹介する。
これを見ただけではなんのことだかわからないと思うが、本書では事例とアクションステップが平易な表現で記されており、特別難解なものもないので、読んで理解できないということはないだろう。
- 一貫性の原理
- 適切なアピールポイント
- 顧客の特徴
- 欠点の告知
- 抵抗感の克服
- 巻き込みとオーナーシップ
- 誠実さ
- 物語(ストーリー)
- 権威
- お買い得感
- 感覚
- 理屈による正当化
- 強欲
- 信頼性・信憑性
- 満足の確約
- リンキング
- 帰属欲求
- 収集欲求
- 切迫感
- 限定
- 単純明快さ
- 罪悪感
- 具体性
- 親近感
- パターンニング
- 期待感
- 好奇心
- 市場とのマッチング
- 考えさせる力
- 正直さ
紹介されているいくつかのトリガーは通販番組などで見覚えのあるものも多く、読み終わったあとに通販番組を見たら気づくことも多そうだ。
さいごに
フォレスト出版は読みやすい代わりに内容の薄い本ばかり出している印象があり、まったく期待せずに読んだのだが、本書は読みやすいが内容は充実している。営業職やセールスに関わる人であればすぐにでも試したくなりそうなことが盛り沢山で、このあたりはダイレクトマーケティングで名を馳せた著者の経験は伊達じゃないといったところ。
日本語版が出版されたのは2006年と少し古い本だが、人間の心理面にフォーカスした本なので大きく環境の変わった今でも通用スル部分が多い。
業界や商材によってガッチリはまるものと、そうでないものがあるかもしれないが、30あるうち少なくとも5つくらいはすぐに実践できるだろうし、段階を踏んで少しづつ試していくのも良さそうだ。
ぱらぱら読んでアイデアが思いつくきっかけにもなりそうなので、モノやサービスを売る会社のオフィスに常備しておいてもいいかもしれない。
- 営業職の方
- 顧客と接点を持ち、購買の意思決定に影響を与えられるポジションにいる人