本の概要
激変する現代において、「従来型の雇われ仕事の時代の終焉」が到来していると警笛を鳴らし、その背景について考察し起業を後押ししている。世界8カ国で翻訳され話題となった本だ。
原著は『The End of Jobs』
著者紹介
著者のテイラー・ピアソンは起業家、著者、コンサルタントとして執筆、講演、コンサルテイングなど幅広い分野で活動している。
読んでみて
これからの時代を生きていくうえで、ものすごく重要な考え方について書かれている。
読み終わったあとは何かを始めたくて仕方がなくなってるだろう。
本書の構成
本書は下記のような構成になっている。
Part1、雇われが破綻する理由として、グローバル化、テクノロジーの進歩があり、その上でこれからは学歴や知識がコモディティ化し全く価値がなくなること。
Part2、過去のパラダイム・シフトが起きた背景を振り返るとともに、今もパラダイム・シフトが起きている真っ只中にあること。
Part3-6、いかに起業が楽になり、儲けやすくなっているか。
今起きているパラダイムシフト
著者は、過去に起きた歴史の転換点と、その時のパラダイムシフトについて振り返り、今現在もパラダイムシフトが起きている真っ只中にいると言う。そのパラダイムシフトとは下記のようなものだ。
- 制約が知識から起業家精神にシフトしている
- 支配的機関が会社から個人にシフトしている
- 支配者がCEOから起業家にシフトしている
その上で今動くことの重要性を説いている。
今は、仕事に求められるものが知識から企業家精神へと変わる転換期だ。この変化でもっとも大きなメリットを得るのは、その変化に気づき、起業家精神にいち早くコミットした者だ
起業家になるための手法
起業家精神を育むための2つの方法として『段階的起業法(ステアステップ・メソッド)』と、『徒弟制度(アプレンティスシップ)』を紹介している。
段階的起業法(ステアステップ・メソッド)
元々の仕事を続けながら段階的にビジネスを拡大していく方法。
まず最初のステップとしてビジネスを始め、売上の基盤となる製品やサービスをつくる。
そして次のステップで製品の数を増やして売上を伸ばし、フルタイムのビジネスに移行できるようになることを目指しながら、外部に委託するコツなども学んでいく。
最後のステップでフルタイムに移行し、時間という資源を手にし、より大きなスケールのビジネスに挑戦する。
徒弟制度(アプレンティスシップ)
給料が低くても学びを重視して仕事を選ぶ方法。この方法には3つのメリットがある。
- 人脈をつくれる
- 現場で効果的に経験を積める
- 会社のお金で学べる
ようは段階的にコミット量を増やすか、人のビジネスに貢献すると同時に未来のビジネスのために効率的に学ぶという選択であるが、重要なのは近い将来自分でビジネスを行うことを前提とした選択になっていることだ。
環境は整ってきている
一昔前に比べ、起業することはとても簡単になっている。
テクノロジーの進歩とグローバル化によってあらゆるメディアや製品において以下の共通点が生まれた。
- 製品やサービスを低コストでつくれる。
- それらを簡単かつ低コストで市場に投入できる。
- 新たな市場がそれらを喜んで購入してくれる
そして、創造性と起業家精神を持って付加価値を生み出すことが重要だと著者は主張している。
人間の基本的欲求は『お金』、『自由』、『意味』の3つ
過去数十年の研究によって人の欲求は『お金』、『自由』、『意味』と大きく3つであることがわかった。そして、その欲求を満たすためにどうすべきか。
キャリアの早い段階から自由と意味を意識しながら働くことで、僕たちはより自由でやりがいのある人生を送れるようになる。人の役に立つことができ、同時に豊かさも手に入れることができる。
スローレーンではなく、ファストレーンに乗る
スローレーンとはコツコツと働く従来型の働き方のことを指すが、この働き方で仕事をしている限り、報酬は時間と結びついている。それは人生の貴重な時間を奪い、人生をコントロールする力も奪ってしまう。
起業家たちの成功の肝は、ビジネスが一旦軌道に乗ったあとは手をかけなくても利益をもたらしてくれる仕組みを、できる限り短期間で構築してしまうことにある。
現代の労働環境には、個人の力が最大限に活用されるような仕組みになっていないことが最大の問題だが、同時に、目標の達成を目指したい成長したいという人間の本能的な欲求と、ビジネス的な成功が一致する時代が到来した。
起業家精神を持つことによって、人々は人生を思い通りにデザインできるようになる。誰かに用意された選択肢を選ぶのではなく、自分で人生をデザインできる。
さて、自分にはどんなことができるだろうか。
不思議とワクワクする感覚がある。
- 全ての社会人
- これから就職活動を迎える学生