勉強会やイベント、コミュニティ運営など、効果的な集まり方を考える

本の概要

誕生パーティから大規模フェス、ダボス会議まで「盛り上げる」ための全秘訣が一冊に
これを知っていればあなたも「神イベント」が開ける!

原題は『The Art of Gathering』

著者紹介

プリヤ・パーカー
プロフェッショナルファシリテーター。戦略アドバイザー。
MITで組織デザイン、ハーバード大学ケネディスクールで公共政策、バージニア大学で政治・社会思想を学ぶ。
15 年以上、人種問題や紛争解決など複雑な対話のファシリテーションを行ってきた。

読んでみて

もしあなたが、何らかのイベントを開いたことがあり、思うような結果にならなかった経験があるのであれば、この本は読むに値するだろう。

かくいう自分もこれまで何度か会を主催していくなかで、あまりうまくいかなかった苦い経験がある。本書には、その原因だと思われることや、人のイベントに参加して居心地が良くないと感じる理由などが書かれていて、とても腑に落ちるものであった。

本書の内容を、ものすごく乱暴に要約してしまうと、会の目的(望むべき結果)を考え、誰を招き、どこで開催するかを決め、会を主体的にコントロールすることで、ゲストの体験に責任を持ち、そのための準備を欠かさない。ということになるだろう。

『最高のイベントをデザインするために何をすべきか』、著者の経験や、様々なエピソードを紹介することで、より実践的な内容となっている。

読んでいて、いくつか思い当たる失敗を思い出した。
特に下記の部分。

ホストはまず、ゲストを守らなければならない。それがいちばん大切な時間の使い方だ。ゲストをほかのゲストから守り、退屈から守り、ポケットの中でブルブルと震えているスマホの誘惑から守るのは、ホストの役目だ。誰でもノーと言うのはいやなものだ。でも、自分が誰を守り、何を守っているのかを理解すれば、ノーと言うのが楽になる。

主催するイベントで、誰でもウェルカムな会にしてしまい、なんとなく参加したがった人を受け入れてしまった。その結果、会の目的意識は曖昧になり、参加者の体験の質が低下してしまった。気楽に参加したがった人を断るか、高い目的意識を植え付けた上で参加してもらえていれば、避けられたことだろう。

また、web上のイベントで共同主催者が次から次と人を呼んだうえで、進行を放ったらかしにしてしまったため、でしゃばりが宣伝や自慢話を始めてしまい、収集がつかなくなってしまったこともある。あらかじめ打ち合わせもなく始めてしまったため、途中でおかしくなってることは感づいていたものの、主催者側が招いてしまった悪意のない行為をうまくコントロールできずに頭を悩ませながら対応したことを思い出した。

人によっては豊富なエピソードが冗長だと感じるかもしれない。
そんなときは自分が会を主催するうえで改善すべき部分だけを重点的に読み込むといった読み方でも良いだろう。
イベントを主催してきた人、これからイベントを主催したい人は読むことで、きっと何らかのヒントがえられ、イベントの質も向上するに違いない。

こんな人におすすめ!

  • イベント主催者、これからイベントを主催したい人
  • ファシリテーター