本の概要
仕事や場所に縛られず、旅するように働く『モバイルボヘミアン』を実践する著者によるライフスタイル論。
著者紹介
本田 直之はレベレッジコンサルティング株式会社代表取締役。
ハワイ、東京に拠点を構え、旅しながら仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを実践している。
四角 大輔は元レコード会社のプロデューサー。
ニュージーランドの湖畔で半自給自足で暮らしながら、年の半分を世界を旅しながら働いている。
読んでみて
一言でいって羨ましい生活である。
自分もこれまでバックパッカーとして約30カ国ほど旅してきたが、それはあくまでもお金は減っていく一方の旅であり、継続することは難しい。
著者の二人は入念な準備によって、旅をしながらお金を稼げる仕組みを構築し、成立させたのである。本田氏の書籍は過去に何冊か読んだことがあったが、このようなライフスタイルをしていることを知らなかったので驚きである。
四角氏は、自分のやりたいことを中心に、仕事や場所に縛られずに生きるための手段としてたどり着いたのが
「高度なモバイル・リテラシーを身につけ、自分を移動させる力(モビリティ)を最大限まで引き上げること」だった
モバイルボヘミアンになるために
この本の内容を簡単に要約すると下記のようなものとなる。
- テクノロジーの進化によってモバイル環境は整った
- 会社に所属して1つの収入源に依存する時代は終わる
- どこでも通用するスキルを身につける必要がある
- これらの生き方は一部の人に制限されるようなものではなくなった
時代や環境の変化を踏まえた上で、自分たちのライフスタイルを紹介しているのだが、四角氏は現代をしなやかに生きるためのサバイバル能力として3つあげている。
- 物理的なモビリティ能力(高い機動力と行動力)
- 思考のモビリティ能力(柔軟性と受容性)
- モバイルリテラシー(テクノロジーを自由自在に活かす能力)
モバイルボヘミアンへのステップ
四角氏による会社員からボヘミアンモバイルという生き方にシフトするためのステップはとても参考になる。
1. ミニマム・ライフコストの把握
自分や家族が健康的に生活するためい必要な最低限のお金を把握する。
これにより、無駄な支出は減ると同時に、少しの見返りのために魂を売ることもなくなる。
「何を失うことが本当にこわいのか?」を把握したうえで、「どうなっても生きていける」と確信した瞬間、人は勇気を手にし、行動することができる。
2. 経験を蓄積する
「ベーシックスキル」を身につけたうえで実績を生み出すための「専門スキル」を手にする。
会社で身につけたビジネスパーソンとしてのスキルに、好きで夢中になって続けていたことが掛合わさった結果がインフラとなってモバイルボヘミアンという生き方ができている。
3. SNS×マニアックメディアでの発信
今はマニアックであればあるほど、ブランドとコンテンツの価値が高まる時代なので、わずか数千人から1万人程度のユーザーしかいないようなメディアからフォロワーを作り始めることが重要。
マニアックメディア×SNSで培った「オリジナルコンテンツ」はのちに、多くの科学反応を生み出し、素晴らしい出会いをもたらす
4. 個人ブランドを確立する
今は無名の個人が活躍できる時代であり、マニアックなコンテンツを発信することで個人ブランドを強くする。
フォロワーからのニーズや感謝が積み重なることで、いつか必ず仕事につながる
5. 自分なりのベーシック・インカムをつくる
自分が熱狂してきたことや追求してきたことに、働きながら習得したふたつのスキルを掛け算して、どこか1つに依存しない複数のキャッシュフローをつくる。
「責任を持てる範囲をあまり大きくしないスタイルで仕事を請け負う」
「個人として企業と対等にコラボレーションする」
6. 旅そのものを生活にし、仕事にする
個人ブランドとベーシックインカムが構築できると旅するように生きることが可能になる。
このレベルになると依頼される仕事の精度も高くなるが、大事なのは自分が本当にやりたいことを明確に持ち、表現し続けていることが絶対条件。
7. 自分の意志で人生をデザインする
自分が信じる方向に向い、自分の人生をデザインすることに意味がある。
今まさに起こっている、働き方と生き方におけるパラダイムシフトは、歴史上もっとも巨大な変化
さいごに
ビジネス書とは異なり、1,2時間もあれば読めてしまい、それほど内容が深いとは言えない。
しかし、本書のテーマとなるライフスタイルを実践している著者による言葉は説得力があり、刺激的であることは確かだ。
この本は知識や技術を得られるかというよりは、どのような刺激を貰い、その後、どのように行動を変化されられるかが重要だろう。そういう意味では生活や思考が凝り固まってしまった大人よりは、20代とか学生のほうがすんなり受け入れ、実践できそうだ。
それこそ就職して5年働いてみたけれど、なんか違うと感じている人にはピンポイントで響くだろう。
自分は、いいおっさんではあるが、幸い独り身なので実践の余地がありそうである。
- 新しい働き方のロールモデルに興味がある人
- 10年後の働き方について考えるきっかけを探してる人