本の概要
北に通天閣、西にはあいりん地区と言われる日雇い労働者の集まるドヤ街『西成』があるディープなエリアに日本最大の遊郭がある。それが『飛田新地』だ。
飛田新地は競争が激しく、稼げる子は短期間でものすごい金額を稼ぐらしい。
そのため、日本全国から様々な事情を持ってやってくる女たちが集まってくる。
そんな遊郭で働く女達の日常を料亭経営者からの視点で書かれたのが本書だ。
著者紹介
著者の杉坂圭介さんは飛田新地で10年間にわたり料亭を経営していた人で、現在はお店の名義を譲り、スカウトをしているそうです。
読んでみて
テーマがテーマだけに敬遠してしまう人もいるとは思う。
自分もひょっとしたら、借金の肩代わりとして売られてきた人の話など、人身売買的な話もあるのかと思っていた。しかし、読んでみるとそんなことは全くなく、意外や意外、経営者が書いているということでビジネス的な側面の話が少なくない。
風俗業は所属している嬢が売上を左右する大事な商品であり、働いている嬢の人間関係や働き方、メンタルのケアなど、タレント事務所を経営しているかのような視点を持っていながら、同時に彼女達のマネージャーでもあり、面接官でもある。
どのようにしてエース人材を見つけ、辞めないように気を配り、層を厚くしていくか。
その過程で求人広告への出稿文を考えたり、面接したり、嬢同士のやっかみや衝突を解決したり、解決できなかったり。
なかなか知ることができないディープな世界の経営者の悲喜こもごもが文書を通して伝わってくるのだ。
こんな人におすすめ!
- 自分の知らないアングラな世界の仕組みや構造に興味がある人
- 異なる業界の経営に興味がある人