本の概要
デザインの良し悪しを大きく左右するのが余白の使い方。
そんな効果的な余白の使い方をデザインされたもののビフォーアフターを見せることで解説している。
著者紹介
著者となっているingecter-eは寺本 恵里さんが代表を務めるデザイン事務所。
京都、大阪では「ROCCA&FRIENDS」などのカフェの運営、店舗展開、デザイン、企画などもしている。
読んでみて
ビジュアルデザイン系の書籍は、ビフォーアフターを見せてポイントを解説するのが昨今のトレンドのようだ。
本書では新米デザイナーの「いまいちさん」と、ベテランデザイナーの「しゅっと先輩」というデザイン事務所に勤める2人という若干ベタな設定があり、各制作物の1ページ目にいまいちさんのデザインしたNG作例、2ページ目にしゅっと先輩がデザインしたOK作例、3ページ目で問題点、4ページ目で修正のポイント、5ページ目で他のレイアウト案、6ページ目で関連するアドバイスという6ページで1セットとなった構成が続く。
見開きの両ページに並んだお題に対するNG作とOK作を、じっくり見比べてから解説に進み、他のレイアウト案を眺めては、軽めのアドバイスを読む。という繰り返しとなるのだが、わりとテンポよく読み進められるし、作業の合間のスキマ時間(5分〜10分程度)で少しずつ読める(眺められる)が良い。
なかにはもう余白関係なくなってないか?と思われるものもあるけれど、そこはご愛嬌。
著者のイメージする、『かわいい系には〇〇フォント。』、『カジュアルは〇〇』みたいなアドバイスがあるのだが、性別の違いもあって普段あまりみかけないようなフォントやカラーパターンが紹介されているのはなかなか参考になる。
この本1冊でいきなりデザイン力が上がるわけではないけれど、NG例の中に自分がやってしまいがちの例があったりする。そういう意味ではすでに手を動かしていろいろな制作物を作ってきたことがある人のほうが役立つだろう。
作例がない人にとっては自分が陥りやすいNGパターン自体がないため、イマイチだったものが見やすくデザインされるところが楽しいだけになってしまいそうだからだ。
デザインを学び始めたばかりの人には先日紹介した『なるほどデザイン』をおすすめしたい。
この本は良くも悪くも自分の型みたいなのが出来始めた時に読むと真価を発揮しそうである。
著者は他にも書籍を執筆しているようなので機会があればそちらも読んでみようと思った。
- 自分の型や癖ができつつあり、ビジュアルデザイン力を高めたい人