本の概要
なりたいものを一つに絞れず、困っている人。それはマルチ・ポテンシャライトだから。
マルチ・ポテンシャライトとは、さまざまことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探求する人のことをいう。
本書にはマルチ・ポテンシャライトとして良い人生を過ごすための考えかたや指針が詰まっている。
原題は『How to Be Everything』
著者紹介
エミリー・ワプニックは講演家、キャリア・コーチ、ブロガー、コミュニティ・リーダー。
読んでみて
序盤の一文で、この本は自分のために書かれたものだと思った。
新しい分野にダッと飛び込んで、どっぷりとはまり込み、ありとあらゆる情報をむさぼるように吸収し、夢中でいくつかのプロジェクトを完遂する。ところが何ヶ月(あるいは何年)か経つと、不思議と興味が薄れだし、また別のわくわくする分野に飛び移る。そして、そこでまた同じパターンを繰り返す。スキルが上達し、かなりのレベルに達すると、決まって退屈になるのだ
自分で書いた文章であると思えてしまうくらい当てはまっている。
熱しやすく冷めやすいため、不本意ながら、物事が続かない駄目人間だとジャッジされてしまうことも多い。
しかし、何かに時間を費やさなくなる理由は、向いてないとか、うまく出来ないとかではない。むしろ人よりもうまく出来ていて、一目置かれるレベルまでかなりのスピードでたどり着けることが大半である。では、なぜ興味が遠のいてしまうのかというと、それは他の分野からの無視できないほど重力に引き寄せられてしまうのである。
そして、そこでまた新人として一から貪欲に吸収していくのだ。
マルチ・ポテンシャルを肯定する一方でそのスタイルで生きるのは苦労も多い。
マルチ・ポテンシャライトな生き方をシている人の成功について調査を行った結果、3つの要素を満たす人生を設計していることがわかった。
- お金
- 意義
- 多様性
この3つの要素を満たすにはどうすればいいのか。
著者は4つのアプローチに分類している。
4つのアプローチ
- グループハグ・アプローチ
- スラッシュ・アプローチ
- アインシュタイン・アプローチ
- フェニックス・アプローチ
グループハグ・アプローチ
一つの多面的な仕事、またはビジネスに携わることで多くの役割を担い、いくつもの分野を行き来できること。
都市計画など構造的に複数の分野にまたがる分野や、スタートアップなどやれることの多いところ、そして自ら仕事を拡張していく、起業するなどのやり方がある。
スラッシュ・アプローチ
パートタイムの仕事やビジネスをいくつか掛け持ちし、その間を日常的に飛び回ること。
それぞれの仕事から得られる「お金」と「意義」の大きさは異なるが全体としてバランスが取れてる。
アインシュタイン・アプローチ
生活を支えるのに十分な収入を生み出し、他の情熱を追求する時間とエネルギーも残してくれる、フルタイムの仕事かビジネスに携わること。
あらゆることに挑戦できるが、そのすべてで稼ぐ必要はない。
フェニックス・アプローチ
ある業界で数ヶ月、もしくは数年働いたあと、方向転換して、新たな業界で新たなキャリアをスタートさせること。
情熱を一度に一つずつ、探求するのが好きなマルチ・ポテンシャライトに向いている。
自分に向いた生産性システムをつくる
マルチ・ポテンシャライトな人達は多様性を求めるため、通常の生産性とは異なる自分にあった生産性システムを作る必要がある。
- 何に取り組むべきかを選ぶ
- 時間をつくる
- 辞め時を知る
- 仕事に取りかかる
自分の特性として受け入れる
興味の対象が多岐に渡り、いろんなことに挑戦したくなってしまう。
全能感を感じることもあり、何者でもないという強烈な劣等感を感じる要因にもなっていたこの特性。否定せずに継続しつつも、うまく自分を乗りこなしていく必要がありそうだ。マルチ・ポテンシャライトという生き方や、考え方が広まれば、もう少し生きやすい世の中になるのかもしれないと思いつつ、自分の特性を改めて理解できたので、良い本と出会えた気がした。
最後にYoutubeのTEDチャンネルを貼っておきます。
(英語ですが、日本語字幕の表示をオンにできます。)
- いろんなことに興味が湧き、一つに絞れない人
- 何かが続かなくて劣等感を感じている人