本の概要
今のサッカーを語る上で無視できないポジショナルプレーとは何なのか?
多様なチームの戦術を読み解きながら、解説していく現代サッカーの戦術解説本。
著者紹介
結城 康平はライターとして複数の媒体に寄稿しつつ、翻訳・通訳・編集として活動している。
読んでみて
フレームワークとしてのポジショナルプレー
ポジショナルプレーはそれ自体が明確な戦術ではなく、あらゆる条件下におけるプレーの指針となるフレームワークであり、根本的な思想として3つの優位性がある。
- 数的優位性
- 位置的優位性
- 質的優位性
これらの優位性を生み出すために、ボールを動かすことで相手ディフェンスにギャップを生み出す。
守備の時間を少なくするためのカウンタープレッシング
試合中は攻撃、守備、ネガティブトランジション(攻→守)、ポジティブトランジション(守→攻)の4つの局面に分類される。
ポジショナルプレーでは攻撃時も選手が適切なポジショニングを取ることで、ネガティブトランジション時に素早いボール奪取を試み、すぐに攻撃に移ることで守備の局面を減らしている。
カウンタープレッシングはリスクが大きく、ハイプレスを回避されると「数的不利」に陥りやすい。
さいごに
5レーン理論、偽サイドバック、0トップ、ハーフスペースの攻略など、近代サッカーで出てくる理論は一通り触れられている。
テーマがテーマだけに先日読んだ『モダンサッカーの教科書』と内容がかぶるところも多い。
そちらを読まずにこの本に出会っていたら、もう少し感動できたのかもしれない。
もちろんこの本独自の内容もあるのだが、ポジショナルプレーというテーマからは少し離れている内容が並列に扱われていたり、いろんな事例に飛ぶせいか、読んでいて少しまとまりのない印象も受けた。特に難解なわけでもなく、内容が乏しいわけではないのに、どこか読みづらさを感じてしまったのはひょっとしたら構成の問題なのかもしれない。
とはいえ、今のサッカーを語る上で重要な要素は詰まっているので、サッカー好きの人は読んで損はないだろう。
- サッカーの指導者やコーチなど
- 現代サッカー戦術の主要な考えを学びたい人